2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

無題

冬夜音なき声が、階段下から駆けてきた、まどろむ、その遠くから。歩き出す、表裏は冷ややかに。いつもの顔が、覗いている。

ハイデガー『芸術作品の根源』 関口浩訳 平凡社ライブラリー

決定的な書物である。前期ハイデガーからの転回、まさにその通りの書物だという読後感。特に「真理と芸術」の章は圧巻である。静かに、足元を確かめながら歩み始めた、そのさまよいが、最後には駆け去るような、そんな印象である。詩作が「贈与、根拠づけ、…

柄谷行人さんについて。『批評とポスト・モダン』以後。

久々の再読。柄谷さんの著作はマルクス論や日本近代文学論といった初期のものをはじめ、今回再読した『批評とポスト・モダン』、『探究』、『トランスクリティーク』、『日本精神分析』など、主に二年前によくお世話になった。しかし二年前の自分はよくわから…

ラヴェッソン『習慣論』 野田又夫訳 岩波文庫 1938年

気づけば自分が「おかしく」なってしまったと思うときがある。気づけば便器に吐しゃ物をぶちまけている光景に、我に返るときがある。自分が普通ではなくなってしまった、と思ってしまうときがある。あるいは、他人と自分との間に狂いが生じたように見えるとき…